(※本記事は、CSBASIAの軌跡を綴った航海日誌【Log.037】です。最初から読む方はこちら)
■ 賃上げ交渉の裏に潜む「醜悪なリアル」
前回のLog.034で、インフレ時代における家賃アップの交渉と、長く住んでくださる入居者との「妥協点(落としどころ)」を見つけるスタンスについてお話ししました。 実はこの話には、私の右腕であるパートナーの山形さんから聞いた、不動産業界の醜悪なリアルを示す「ある裏話」が存在します。
インフレという環境変化は、時に投資家の本性をあぶり出します。
■ 豹変し、最前線の部隊を恫喝する将軍
山形さん曰く、世の中の一部にはこんなオーナーがいるそうです。 デフレの厳しい時代には「とにかく空室さえ埋めてくれればいい、文句は言わないから」と管理会社に泣きついていたにもかかわらず、インフレになり周辺相場が上がった途端に態度が豹変する人たちです。
彼らは管理会社に対し、「相場が上がっているのになぜ家賃を上げられないんだ!」「努力が足りないからだ!」と、まるで絶対的な権力者のように恫喝し、理不尽な要求を突きつけます。自分の物件の固有の事情や、入居者とのこれまでの関係性を一切無視し、ただ数字だけを見て怒鳴り散らすのです。
■ 管理会社の担当者はビジネスパートナー(チーム)である
こうした行動に走るオーナーは、致命的な勘違いをしています。管理会社は「オーナーの使用人」ではなく、共に要塞を守る「ビジネスパートナー(チーム)」であるという大前提です。
管理会社のフロント担当者も、感情を持った一人の人間です。 デフレ時代に苦労して入居者を確保するべく走り回った恩を忘れられ、相場が上がった途端に恫喝されれば、誰だって「こんな酷いオーナーとは、今後深いお付き合いはできない」と考えます。結果としてどうなるか。担当者はそのオーナーから「静かに距離を置く」ようになります。
■ 孤立した要塞は、いずれ必ず陥落する
管理会社は、無数のオーナーと物件を抱えています。もし突発的なトラブルが起きた時、あるいは優良な入居者の候補が現れた時、担当者は誰の物件を最優先で対応するでしょうか。 恫喝してくるような傲慢なオーナーの物件は、当然ながら後回しにされます。表向きは通常の管理業務を行っていても、担当者が自発的に「プラスアルファの提案」や「身を削ったフォロー」をしてくれることは二度とないでしょう。
不動産投資は、最後は「人と人との繋がり」で決まる泥臭い経営です。管理会社と目線を合わせ、互いにリスペクトし合える関係を築くことこそが、長期的には最大の利回りを生み出す最強の防御策なのです。
私が理不尽な要求をせず、常に彼らとフラットな目線で対話ができるのは、耳の痛い「業界のリアル」を包み隠さず教えてくれる山形さんのような存在がいるからです。

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