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Log.036|問われたスタンス、3月の契約更新で「家賃アップ」と「信頼」を両立させた交渉術

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(※本記事は、CSBASIAの軌跡を綴った航海日誌【Log.036】です。最初から読む方はこちら

■ デフレからインフレへの転換点 

これまで、空室対策や設備の突発的な故障など、不動産経営における「守備(ディフェンス)」の重要性を語ってきました。しかし、実物資産の強みは守備だけではありません。 日本がデフレからインフレ(物価上昇)へと明確に転換しつつある現在、不動産は現金の価値下落をヘッジし、自らの収益性を高める「攻撃力」を持っています。その力が最も分かりやすく発揮されるのが、賃貸契約の「更新」のタイミングです。

今年の3月、私の運用する4戸のうち2物件が同時に更新月を迎えました。

■ 自律的に動く管理会社と、需給バランスの威力 

質の高い管理会社は、オーナーが指示を出さずとも、相場に即して自律的に値上げ交渉のテーブルをセットしてくれます。

今回更新を迎えた1件目の物件は、私自身「すでに家賃設定のアッパー(上限)に達している」と分析していました。しかし、蓋を開けてみると、都心の単身者向け物件の需給バランスは私の想像以上に逼迫しており、結果としてあっさりと家賃アップでの更新となりました。これは市場の力強さを再認識させられた嬉しい誤算でした。

しかし、私が経営者としてどうあるべきか、スタンスをはっきり問われたのは、もう1件の物件です。

■ 「相場まで上げる」が正解ではない 

2件目の物件は人気エリアにあり、周辺相場が明確に上がっていました。そして何より、現在の入居者の方はその場所を愛し、デフレの厳しい時代から長く住み続けてくださっている方でした。

もしここで、私が「相場が上がっているから」と冷徹に市場価格ギリギリまでの大幅な値上げを要求すれば、どうなるか。入居者は引っ越しコストを嫌って渋々受け入れるか、あるいは退去を選択するでしょう。 しかし、デフレ時代に私の要塞の兵站(家賃)を支えてくれた優良な入居者を、インフレになった途端に冷遇し、追い出すような真似は私の経営哲学に反します。長く住んでくれる入居者こそが、最大の「空室リスク対策(最高の守備隊)」だからです。

■ 妥協点(落としどころ)を見つける美学 

かといって、「家賃を据え置く(静観する)」のは経営の放棄です。インフレで現金の価値が目減りしている以上、据え置きは実質的な利回り低下を意味します。

そこで私は管理会社に対し、「相場レベルまで上げる必要はない。これまでの感謝も加味しつつ、双方にとって納得感のある『落としどころ』を見つけてほしい」と交渉を依頼しました。 結果として、相場よりは十分に低い水準に留めつつも、しっかりと「家賃アップ」を勝ち取ることができました。管理会社の絶妙な交渉術もあり、お互いの思いが通じた、非常に健全な更新契約になったと考えています。

■ インフレ時代を生き抜く「実物資産」の証明

 不動産投資とは、単にエクセル上で数字を叩くゲームではありません。そこを生活拠点としてくださっている入居者の方がおり、彼ら彼女らとの長期的な信頼関係(LTV:顧客生涯価値)を築きながら、インフレの波を乗りこなし、資産価値を押し上げていく「経営」です。

今回の家賃アップによって強化された毎月のキャッシュフローは、将来懸念される「金利上昇」に対する防波堤となります。

金利上昇の足音が聞こえる今、まずは自分のローンの「現在地」を把握し、借り換えによる防衛策を講じておくことが、次なる攻撃と守備への最大の備えとなります。

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