(※本記事は、CSBASIAの軌跡を綴った航海日誌【Log.028】です。最初から読む方はこちら)
■ 12月退去という「最悪のシナリオ」
不動産投資は、不労所得ではありません。「経営」です。その経営者としての手腕が最も試されるのは、家賃という名の兵站が途切れる瞬間、すなわち「空室」が発生した時です。
私が4戸を運営する中で直面した厄介な事態の一つが、「12月の退去」でした。 不動産賃貸業界において、12月はまさに閑散期のど真ん中。年を越して春の引越しシーズン(1月後半〜3月)に入るまで、客付けの動きがパタリと止まる魔の期間です。
■ バリューアップと「家賃の引き上げ」という逆張り
退去の知らせを受けた私は、管理会社の提案を受けて単なる原状回復(クリーニングや壁紙の張り替え)に留まらず、一部設備を追加・補完する「バリューアップ・リフォーム」を決断しました。 費用はややかさみましたが、前の入居者の方に長く住んでいただいたこともあり、修繕+競争力を高めるためのプチ投資として考え、「以前よりも家賃設定を上げて」募集を開始しました。
しかし、時期が悪すぎました。募集を開始しても、内見の申し込みは一向に入りません。
■ 管理会社からの「値下げ打診」に応じなかった本音
年内の入居が決まらず、年明けの勝負になるだろうと腹を括り始めた頃、管理会社の担当者から一本の連絡が入りました。 「なかなか決まらないので、家賃の値下げは検討可能でしょうか」
早く空室を埋めたい担当者の心理としては理解できます。しかし、私の中ではすでに腹が決まっていたため、まったくブレることなく、その打診には応じませんでした。
「それは筋が違います。私は年明けの繁忙期まで様子を見る覚悟ができています。」
なぜ下げなかったのか。もちろん資産価値の毀損を防ぐというセオリーもありましたが、本音を言えば私の「意地」でした。 そもそも12月という閑散期であることは、最初から百も承知です。だからこそ、その悪条件を跳ね返すために、決して安くない費用をかけてバリューアップの提案を受け入れたのです。それなのに、少し決まらないからといって安易に家賃を下げる判断を下すのは、最初の投資決断の前提を自ら覆すことになります。私はその判断を、軽々しく下したくはなかったのです。
■ 経営者の覚悟が、担当者を本気にさせる
私の「年明けまで待つ」というブレない意地と筋の通し方を伝えたところ、担当者の目の色が変わりました。 「おっしゃる通りです。わかりました、この家賃のまま決めましょう」
彼らの動きは迅速でした。仲介業者へのプッシュを強め、部屋を魅力的に見せるためのホームステージング(家具や小物の配置)など、家賃を下げる以外のあらゆる工夫を凝らしてくれました。 結果として、年明けの動き出しと共に、当初の強気な設定家賃のまま、極めて短期間で新たな入居者を獲得することに成功したのです。
管理会社の担当者とは「チーム」のようなものです。双方で考えていることを忌憚なく話し合い、リスペクトし合い、目線を揃えて事に当たる。これが今回のトラブルシューティングの最大の勝因です。
■ 「待てるだけの体力」を持つ
このエピソードには、もう一つ重要な前提があります。 私が「年明けまで家賃収入がゼロでも構わない」と意地を張り、強気な交渉ができたのは、私自身に「不測の事態に耐えうる防衛資金」があったからです。
もし私が毎月のキャッシュフローがカツカツの状態であれば、焦って家賃を下げていたでしょう(もちろん空室を早く埋めるのはセオリーです)。 トラブル時に正しい経営判断を下し、意地を貫き通すためには、平時からの「防衛」が絶対に不可欠です。
たとえば、あなたの現在のローンは、数ヶ月の空室というストレスに耐えられる金利水準でしょうか。 もし少しでも不安があるなら、自分のローンの現在地をプロのツールで客観的に診断し、「借り換え」という防衛策を検討しておくべきです。それが、いざという時に業者と対等に渡り合うための「余裕」を生み出します。
> 投資用ローンの「現在地」を把握し、兵站を守る。「不動産投資ローン特別金利」で借り換え可能性を探る。


コメント