資産価値を守る「攻撃的守備」。私が「管理組合」を他人事にしない理由

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■ 見落とされる、もう一つの「管理」リスク

前回の記事で、私が入居者様の退去や室内の修繕といった「専有部分(部屋の中)」のトラブルにどう対処したか、その実録をお話ししました。 しかし、中古ワンルーム投資には、もう一つ忘れてはならないリスクがあります。

それは、「共用部(建物全体)の管理不全」リスクです。

「専有部分」は自分でリフォームできますが、「共用部」は自分一人ではどうにもなりません。 どれだけ自分の部屋を綺麗にしても、船(建物)自体がボロボロでは、資産価値は守れません。 だからこそ、私は「管理組合」を「コストを払うだけの他人事」ではなく、「資産を守るための『攻撃的守備』の最前線」だと考えています。

■ 私が管理組合に関わる理由

多くの投資家オーナー(特に遠方に住んでいる場合)は、管理組合の総会や活動に無関心になりがちです。 しかし、私が「当事者」として関わるのには、明確な理由があります。

私の実家が総戸数60戸ほどのマンションだったため、幼い頃から区分所有者間でのトラブルや協働といった「コミュニティ活動」が日常生活の一部でした。 この体験から、学生時代に民法のレポートで「区分所有法」について取り上げたところ、専門とする教授の目にとまり、そのまま専攻することになりました。何とも因果なものですが、この時の知識が、オーナーとなった今に活きているのかなと思います。

■ サラリーマン投資家が「攻撃的守備」に参加する方法

とはいえ、本業があるサラリーマンが、所有する全ての物件でいきなり理事長や理事になるのは現実的ではありません。(実際、私が理事として深く関わっているのも、そのうちの1物件だけです)

しかし、「理事になる」かどうかに関わらず、全てのオーナーができる「現実的で、負担の少ない守備」があります。私が実践している(あるいは推奨する)のは、以下の3つのステップです。

1. 「議事録」と「長期修繕計画書」に必ず目を通す【必須】 

(これは3本目の記事(物件リスクチェック)の購入時だけでなく、購入後も継続します) これこそが、オーナーとしての「最低限の義務」であり「最大の守備」です。 これらに目を通すだけで、「修繕積立金は順調か?」「前回の総会で揉めた議題は何か?」といった、建物の「健康状態」を把握できます。

2. 総会や理事会を「サロン」として楽しむ【推奨】 

もし余裕があれば、総会に参加してみることをお勧めします。 私が参加した物件の管理組合の理事の方々は、80歳を超えるプロ投資家オーナーや、ベテラン建築士のオーナーといった、まさに「猛者」たちでした。 彼らと修繕やバリューアップ策、トラブル対応について交わす「建設的な議論」は、サラリーマンの職場では得難い「学び」と「癒し」のようなものにも感じます。 日々の仕事とは異なる環境や人たちとの触れ合いから得られる刺激や学びが、結果として「資産形成」にもつながっている。個々の経験値が「自治の喜び」として昇華されるこの場は、私にとって面倒な義務ではなく、魅力的な「サロン」なのです。

3. 現実的な「改善提案」を行う【(ご参考)私の実践例】 

(※これは、私がたまたま1物件で行った「趣味と実益」の事例です) 私は「当事者」として、サラリーマンでも参加しやすい仕組みを提案しました。 具体的には、「電磁的方法(オンライン会議)でも理事会を開催できる」という内容を管理規約に盛り込むよう起案し、理事会に参加して説明しました。 (当然ながら)特に反対意見が出るようなものではなく、合理的な提案として承認されました。

理事のなり手が不足している背景の中、リアル参加だけでなくオンライン参加も可能にすることで、

  • 疾病対策(感染症予防)になり、安全に会議が開催できる
  • 資料のペーパーレス化によるコスト削減(管理費の節約)につながる
  • 意思決定が迅速化し、緊急トラブルにも対応しやすくなる(攻撃的守備)
  • 移動時間を含めると参加が難しい遠隔地のオーナーも参加しやすくなる
  • 週末に家族との時間や本業の対応が必要な現役世代も「その時間だけなら」と参加しやすくなる
  • 理事の年齢構成(ピラミッド)のバランスが取れることで多様な意見が反映され、コミュニティとしての新陳怠謝が機能し、将来の「バトンタッチ」にもつながる

といったメリットが生まれ、管理会社の担当者からは大いに感謝されました。

■ まとめ:共用部は「コスト」ではなく「自分たちの資産」

「専有部分(部屋)」の管理と、「共用部(建物)」の管理。この両輪がしっかり回って初めて、中古ワンルーム投資の「守り」は完璧になります。 管理組合の活動に「無関心」でいるか、「資産価値を維持するための重要な活動」として(最低限の)関心を持つか(=議事録に目を通すか)で、10年後、20年後の資産価値は大きく変わってくるはずです。

さて、これで私の考える「守備的資産形成」の7つのステップ(会社・動機・物件・ローン・返済・トラブル・管理)が、一通りお話しできました。 次回は、この一連の経験を通じて、私が目標としていた「1戸目の完済」までの道のりと、そこで得た「自信の実感」について、お話ししたいと思います。

→ あわせて読みたい:「空室」「修繕」と「守り」の機能。計画が「自信」に変わった瞬間

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