■ 「計画」は、「現実」によって試される
これまで5回にわたり、私が実践している「守備的な資産形成」の計画(会社選びから返済プランまで)についてお伝えしてきました。
しかし、どれだけ緻密に計画を立てても、投資に「予想外の出来事」はつきものです。
今回は、私が実際に経験した「トラブル」と、その時、これまで築いてきた「守り(計画)」がどう機能したか、その実録をお話しします。
■ トラブル実録①:コロナ禍での「空室」発生
皮肉なことに、私が「攻めなきゃ守れない」と決意し、不動産投資を始めるトリガーとなったのもコロナ禍でしたが、最初のトラブルもまたコロナ禍によってもたらされました。
経済の停滞は、入居者の方の生活にも影響します。おそらく、コロナの影響を最も受けやすい業種の方だったのでしょう、退去のご連絡がありました。
「生活が成り立たなくなる人が出てきている」と、社会全体の変化を実感すると同時に、オーナーとして「これは厳しい状況になるぞ」と身が引き締まりました。
しかし、誰しもが経験したことのないような状況でしたが、1本目の記事でお伝えした「信頼できるパートナー(管理会社)」が、すぐに動いてくれたのです。
経済が停滞する中でも、彼らは約1か月で次の入居者を決めてくれました。
【現実のコスト(交渉条件)】
もちろん、無傷ではありません。
・敷金・礼金ゼロ
・家賃は5,000円ダウン
・フリーレント(家賃無料)を1か月付与(※ただし1年以内の退去は違約金あり)
オーナーの好みや、文化の違いによる部屋の使い方でトラブルになるのを回避するため、「外国籍の方でも良いか」と確認がありましたが、私は「管理会社の眼でみて、トラブルが多い文化圏の方なのでなければ、何ら問題ない」と管理会社に伝え、即決しました。
家賃収入は減りましたが、「耐えられる資金(バッファ)」は確保していましたし、何よりパートナーの迅速な客付け力のおかげで、最悪の事態(長期空室)は回避できました。
■ トラブル実録②:「年末」の突発的な退去・修繕
次に「ヒヤリ」としたのは、長く住んでくださっていた方の退去時です。
クロスの貼り替えやパッキン交換、さらに若干のバリューアップ(付加価値)のためのリフォームも行いました。
問題は、その退去の時期が「年末」だったことです。(退去理由がご結婚とのことなので、とってもおめでたいことなのですが)
これは、人の移動が最も少なく、次の入居者が決まりにくい最悪のタイミングです。
もし資金的な余裕がなければ、「早く入居者を決めないと!」と焦り、家賃を大幅に下げるなどの悪手を打ってしまったかもしれません。
しかし、この「焦らず待つ」ことができたのは、5本目の記事でお伝えした「コストプール」があったからです。
「リフォーム代も、当面の空室期間(の赤字)も、あのプール金で対処できる」という余裕が、冷静な判断を可能にしてくれました。
■ トラブルを乗り越えて。「守り」が「自信」に変わった瞬間
これらのトラブルを経験して、私が実感したこと。
それは、5本目までにお伝えしてきた「守り」の計画が、机上の空論ではなく、現実のトラブルに対して完璧に機能したという「自信」です。
1. 「資金プール」の妥当性
「1戸に対し20万円」という予算感が、これらの修繕や空室に耐える上で、非常に妥当なラインであったことを実感しました。
(※これはあくまで私の物件のスペック(築年数や規模)に対するコストであり、全ての物件に一律で当てはまるわけではない点、ご留意ください)
2. 「パートナー」の力量
入居者退去から、修繕見積もり、リフォーム提案、そして(外国籍の方も含めた)入居者募集まで、「一気通貫」で任せられるパートナーの誠実さと力量を知ることができました。
3. 「隠れた」メリット
さらに驚いたのは、そのパートナー(管理会社)が、仮に修繕コストがプール金(20万円)を上振れしても、「金利無しの分割払い」に応じてくれる体制を持っていたことです。これは個人で金融機関と交渉するより遥かに有利な「隠れた安全弁」であり、パートナー選び(1記事目)の重要性を再認識しました。
「備え(計画)」があったからこそ、トラブルは「恐怖」ではなく「管理可能なタスク」に変わりました。
■ まとめ:トラブルは「管理」できる
投資である以上、トラブルをゼロにすることはできません。
しかし、事前に「守り」を固めておくことで、そのほとんどは「管理」できると私は実感しています。
さて、これまでは「空室」や「修繕」といった「専有部分(自分の部屋の中)」のトラブルについてお話ししてきました。
しかし、マンション投資にはもう一つ、忘れてはならない重要な要素があります。それは「建物全体(共用部)」の管理です。
次回は、私が「当事者」として関わっている「管理組合」の話と、資産価値を守るための「積極的な守備」についてお話しします。
→ あわせて読みたい:「銀行交渉」が不要だった理由と、守備的な融資返済プラン


コメント