■ 「守備的資産形成」、最初の中間ゴール
これまで7回にわたり、私が実践してきた「守備的資産形成」(会社選びから管理組合まで)の各ステップについてお伝えしてきました。 今回は、その一つの集大成として、私が目標としていた「1戸目の完済」までの道のりと、そこで何を感じたかをお話しします。
■ 「7年計画」を「4年半」に早めた3つの理由
私が1戸目のローンを組んだ当初、立てていた計画は「7年での完済」でした。 5本目の記事でお伝えした「年間50万円」という最低ラインを上回るペースで、コツコツと繰り上げ返済を実行していました。
しかし、計画は大幅に前倒しになりました。最終的に、私は「4年半」で1戸目を完済します。 なぜ、そこまで加速させたのか。理由は3つあります。
- 「金利上昇」のリスクヘッジ: 昨今の「金利上昇局面」が現実味を帯びてきました。変動金利を組んでいた私は、「守り」を固めることを最優先しました。
- 「臨時収入」という好機: 本業で思いがけない臨時収入があり、もともと当てにしていなかったその資金を、ほぼ全額返済に回す決断をしました。
- 「大先輩」の一声(肩押し): パートナー会社(1記事目)のご厚意で、「レジェンド投資家」の大先輩にご相談できる機会をいただきました。その方から「そのくらいの残債と資金があるなら、まず1戸目を(金利が上がる前に)返してしまいなさい」と具体的なアドバイスをいただき、最後の決断を後押ししてもらえました。
■ 完済して得られた「自信の実感」
では、完済した瞬間に何が得られたか。 それは、感情的な達成感以上に、もっと静かで、確かな「自信の実感」でした。
- CF(キャッシュフロー)が一気に黒字化したインパクト 完済の翌月、通帳を見て、まずそのインパクトの大きさに気づきました。これまでローン返済に消えていた数万円が、そのまま手元に残る。不動産投資全体のキャッシュフローが、一気に黒字化した瞬間でした。
- 「戦力化」したという頼もしさと安心感 5本目の記事でお伝えした、私の哲学である「戦力化(=完済)」がここで完了しました。 ローンという負債がなく、純粋な利益だけを生む「戦力」が手に入ったことで、「想定よりも前倒しできた」という自信と喜び、そして「頼もしさ」と「安心感」を覚えました。
- 「お祝い」と「引き締め」という現実 とはいえ、少し無理をして前倒し完済をしたので、手元のキャッシュ(5本目で触れたコストプールとは別の)は一時的に減りました。 そこで、家族で「ささやかなお祝い」をすると同時に、「すぐにまた資金繰りを整えねば」と、気持ちを新たに引き締めました。このバランス感覚こそが「守り」なのだと思います。
■ まとめ:「アルバイトを一人雇う」という感覚
この一連の経験で、私に最も強く刻まれたのは、あの大先輩(レジェンド)の言葉です。
「1戸返すと、アルバイトを一人雇えているようなものだよ」
その方も生活は質素で、「捨て金は使わない」と伺いました。 「年間50万円」といった繰り上げ返済(節制)を、「苦行」だと思わずに、「アルバイトを雇うための投資」として楽しめる人。そういう人が、この投資に向いているのだと強く感じます。
「漠然とした老後の不安」は、今もゼロではありません。 しかし、1戸目を完済したことで、「守りながら攻める(=積極的な返済をする)」ための具体的な方法を考えるというモチベーションが生まれ、「自己変革」につながりました。
この「小さな完済」という成功体験と「自信の実感」こそが、次のステップへ進むための、何よりの原動力になっています。
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